Sunday, November 16, 2014

ほん に であう。

今年もやってまいりました。"Terminal of Books"それぞれが好きな本を出展する、本の展覧会です。本の収集期間が公には過ぎてしまったのですが、わたくしめ展示の際にスタッフとして立ち会わせて頂けることになりましたので、11/21(金)の午前中まで本を受け付けます。

貸し出した本は会場にいらした人々に大切に読まれ、ふせんにコメントなどが書かれて帰って来たりします。

全く同じ本が、例えば「よくわからない本」と、「影響された本」というように全然違うテーマで出されていたりして、側面をみれるようですごく面白いのです。

私は本が好きです。東京で会社員をやっていた頃、朝早く電車に揺られ遅くまで残業をし新橋で飲んで帰る毎日を送っていました。通勤のお供は活字。熱中し過ぎると乗り過ごしてしまうため、短編小説やエッセイ等を愛読していました。

もう十年以上前の事ですから、読んだ本は覚えていても内容こそぼんやりとしか覚えていないのですが、有名な村上春樹氏の多分「村上ラヂオ」だったと思うのですが、鮮明に私の中に刻まれた文章がありまして。

作者がロードス島上空をヘリコプターで飛んでいた時、プロペラが止まりという話です。その時は、「死を身近に感じる瞬間」ということで、交通事故に遭ったときのこと、一瞬の出来事に日常の息吹が消え、自分だけの時空をコマ送りで送ったような感覚を思い出したのです。

それから幾年か経ち、またその感覚が蘇ったのです。友人の事故死でした。ざわざわとふわふわとお通夜、葬儀を終え、帰りに友人らとお茶をしながら思い出話をし、名残惜しく別れた訳ですが、帰りの車中でいつからなのか雨が降っていた事に気付いたその時に私は友人の死に直面し涙を流し始めたのでした。

そんないい想い出に結びつかないこの文章が、何故かとても気になっていて、これをモチーフにイラストを描いたりもしていたのです。というとちょっと狂気じみて聞こえるかもしれませんが、村上氏の描写はとても静かで美しく詩的ですらあるのです。日常にいるときに連想する死は苦しみと激しさが伴うのですが、本当に近くに感じた時、それはひっそりと静まり返った澄み切った空のような。。

この"Terminal of Books"を機に探してみたのですが見つかりません。当時から何度も引っ越しをしたのでどこかに紛れてしまったのでしょう。

また悪い癖で話が長くなりましたが、人にみせたい本を考える事でこういうことを思い出す、それも一入なのです。さて、あなたは当日さよりの「村上ラヂオ」に出会えるのか?

さまざまな本との出会い以外にも裏テーマ、ミヒャエル=エンデの「モモ」をイメージしたワークショップも用意されるとのことです。これは絶対にお勧め、ぜひぜひ本に出会いに、モモに出会いに足をお運び下さい。

展示中は11/27(木)、12/4(木)と会場にスタッフとしております。また、11/22の午後に読み聞かせない「読み」の時間を頂く事になりました。一緒に好きな本を自分の為に朗読してみましょう。

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